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英語を母国語としない人(フランス語、ドイツ語、スペイン語などを母国語とする人)の英会話発音の習慣・クセ

以前購入した発音・アクセントについての書籍 「The American Accent (Diane Ryan)」の付録3に英語を母国語としない主な言語話者(日本語など含む)の発音の習慣・癖が書かれていました。なかなか興味深い内容で意外な発見もありますのでご紹介したいと思います。

対象とする母国語(aから始まるアルファベット順です)

  1. アラビア語 Arabic
  2. 中国語(北京語)Chinese
  3. オランダ語 Dutch
  4. フランス語 French
  5. ドイツ語 German
  6. ヘブライ語 Hebrew
  7. ヒンディー語/ウルドゥー語 Hindi/Urdu
  8. イタリア語 Italian
  9. 日本語 Japanese
  10. 韓国語 Korean
  11. ロシア語 Russian
  12. スペイン語 Spanish
  13. スウェーデン語 Swedish
  14. ベトナム語 Vietnamese


英語以外を母国語とする人たちの習慣・癖

1. アラビア語 Arabic

英語にはアラビア語の約三倍の母音があり、こうした馴染みのない母音を聞いたり発音したりするのが困難。とりわけ微妙な母音の違いがある場合、例えば”ship”と”sheep”、”bad”と”bed”、”bit”と”bet”。

子音の発音で問題となるのが、無声音の”th”と有声音の”TH”です。”thin”と”this”はそれぞれ”sin”と”zis”に発音されることが多い。他には単語の頭の”B”を”P”、”F”を”V”とすること。子音のかたまり(2つかそれ以上の子音がくっついている場合)はやっかい。

アラビア語話者は子音の間に母音を入れることが多い。例えば”closet”が”cuh-loset”としばしば発音される。他には”CH”、”ZH”、”DJ”の音を”SH”に置き換えてしまう。また英語にはない喉音(こうおん)の”H”を入れることがある。

イントネーションに関して、アラビア語話者は強弱パターンのある英語を難しいと考えていて、すべての音を発音する傾向がある。

2. 中国語(北京語)Chinese

英語の音声システムが中国語を母国語とする話者にとって難しいのは、いくつかの英語の音素(音声上の最小の単位)が中国語にないから。強調とイントネーションのパターンもまた違う。

中国語は声調言語で、音の高低を使って文字の意味を区別する。英語では音の高低の違いは、考えを強調したり感情を表したりするときに使われ、単語を区別するためには使われることはない。

中国語話者は母音と二重母音に問題があり、例えば、”ship”と”sheep”、”it”と”eat”、”full” と”fool”の間の違いを聞き取るのが難しい。

”R”と”L”サウンドの区別も困難。このため、”rake”と”rice”を”lake”と”lice”の区別が難しい。子音で終わる単語は中国語ではまれなので、最後の子音が省かれたり、余分の母音が加えられたりすることがよくある。

3. オランダ語 Dutch

オランダ語と英語は音声システムが似ているので他の言語話者と比べて理解や発音の問題が少ない。

いくつかの英語の母音の発音においては混乱が生じることがある。例えば、近い母音である”sit” と“seat”、 “set”と “sat”、 “not”と “nut”、 “caught”と “coat”である。

有声子音で終わる単語はオランダ語になく、この子音に対応する無声子音で発音されることがある。例えば、”rub”を“rup”として、 “bird”を”birt”として。*rupとbirtは英語の単語にはないようです。

VサウンドをWサウンドの代わりに使う傾向がある。

有声無声のTHも難しい。”think”は”sink”または”tink”、”than”は”dan”となることもある。

強調とイントネーションは英語と似ている。ただし、オランダ語話者はアメリカ英語話者が弱く発音するまたはほとんど発音しない単語を強調する傾向がある。

※オランダ人は英語がうまいと言われていますが、やはり言語が近いようですね。

4. フランス語 French

単語の中で母音だけ違うものの聞き取りが難しい。例えば”ship”と”sheep”、”live”と”leave”、”full”と”fool”のペア。

有声無声のTHにも課題がある。例えば”think”を”sink”、”then”を”zen”とすることもある。

最初のHサウンドはフランス語にないので、これを省く傾向がある。

強調パターンは英語と比べて大きく異なる。フランス語話者がフランス語の強調パターンを英語において適用すると、むらのあるイントネーションパターンになる。

5. ドイツ語 German

ドイツ語と英語は強調とイントネーションとともに音が似ている。しかし、有声無声のTH、例えば”the”と”think”はドイツ語にはないのでこれらの音に課題のある人が多い。

ドイツ語ではWで始まる単語は、Vサウンドで発音される。このため、英語の”we”を”ve”、”wine”を”vine”と間違って発音することがある。

6. ヘブライ語 Hebrew

ヘブライ語の母音は英語と比べてずっと少なく、二重母音もない。ヘブライ語話者は”sheep”と”ship”といった長母音と短母音の区別が難しい。

多くの英語学習者と同様に、ヘブライ語ネイティブ話者はクリアなLサウンドとともに、有声無声のTHの発音にも課題がある。

WとVサウンドについても課題があり、”wine”を”vine”、またはその逆に発音することがある。

ヘブライ語では単語の最終または最終音節の隣を強調するパターンなので、アメリカ人のイントネーションはヘブライ語話者にとって難しい。英語では音節の強調はランダムである。

7. ヒンディー語/ウルドゥー語 Hindi/Urdu

ヒンディー語とウルドゥー語はそれぞれインドとパキスタンの公用語である。表記は異なるが、話し言葉は実質同一である。

英語と比較してヒンディー語には約半分の母音と2倍の子音がある。これが理由でいくつかの発音の問題が生じる。

“said”と”sad”、”par”と”paw”、”vet”と”wet”など単語中の音素を区別することが困難である。

“th”を含んだ単語(”this”、”thing”、”month”)も他の英語学習者同様に課題となっている。

“pleasure” の”s”で代表されるZHサウンドはヒンディー語にはないので、こうした単語の発音は難しい。

最初または最後に子音のかたまりはヒンディー語より英語に多い。”straight”を”istraight”、”fly”を”faly”、”film”を”filam”といったように間違って発音することがある。

英語の不規則な強調パターンに課題があり、すべての単語を同じウェートで話す傾向がある。そのため、ネイティブの英語話者には抑揚のないものとして知覚される。 

8. イタリア語 Italian

イタリア語話者はとりわけ英語の母音の微妙な違いを聴き分けたり発音したりする際に問題がある。例えば、”cot”と”coat”、”ship”と”sheet”である。

Hサウンドにも問題があり、”hotel”、”hill”、”house”といった単語で省略される。

反対に、”h”を母音で始まる単語に付け加えることがある。

多くのイタリア語の単語は母音で終わるので子音で終わる英語の単語の終わりに短い母音を付け加えることがある。

ほとんどの他の言語話者と同じように、無声のthサウンドに問題がある。TまたはDサウンドを代わりに使うことがある。

多くのイタリア語話者はRサウンドを震え音で発音する。これはアメリカ英語とは際立った対照をなしている。

アメリカ英語のイントネーションのパターンとは異なり、すべての英語の音節を同じ調子で発音する傾向がある。

9. 日本語 Japanese

日本語は長短の5つの母音しかない。音節の構造は単純で、約15の子音に母音が続いて構成されている。

対照的に、日本語話者にとって英語を聞いたり発音したりすることはずっと複雑で困難である。

結合した子音によって特殊な問題が起き、日本語のネイティブ話者はしばしば子音の間に単語韻を挿入することがある。

二重母音の発音にも課題がある。

最も目立つ問題は、子音のLとRサウンドを区別できないことである。”lot”と”rot”、”lake”と”rake”は正確に発音するのが難しい。

他にはVとBサウンドの発音である。(”van”と”ban”、”very”と”berry”)

※日本人は確かに子音の後に母音を入れる癖がありますね。

10. 韓国語 Korean

英語と異なり、韓国語は個々の単語の強勢がない音節タイミング(*すべての音節または拍に同じウェートを置いて発音しようとする)の言語である。これが根本的に英語と違うところであり、韓国語話者のフラットでモノトーンな話し方の原因となっている。

いくつかの英語の子音は韓国語には存在しないので、これらの発音に課題がある。中でも最大の課題は、”thin”、”through”、”then”、”this”といった有声無声のTHサウンドである。

韓国語話者はVの代わりにBサウンドにすることを含め、他の音の代用をすることがある。

RとLを区別するのが困難である。

2つの言語の間にある音節の構造の違いから、英単語の終わりに短母音を加えることがある。

短母音を長く伸ばすこともある。

11. ロシア語 Russian

多くの母音と二重母音のある英語とは対照的に、ロシア語の母音は5つで、短母音と長母音の区別がない。英語の母音のシステムに慣れていないため、”sat”と”set”、”sit”と”seat”などを正確に発音して区別することが困難である。

THサウンドはロシア語に存在しないので、”thin”、”there”、”clothes”といった単語の発音は難しい。

他の言語話者と同様に、例えば”west”を”vest”と発音するように(その逆も含めて)、WとVサウンドに課題がある。

“sing”や”thinking”のように終わりにNGのあるサウンドを正確に発音するのが難しく、しばしば省略される。例えば”thinking”は、”thinkin”のようになることがある。

ロシア語では英語と同じように、さまざまな強調パターンがある。しかし英語話者ができるだけ小さく発音する単語についてもロシア語話者はそうしないことがある。

ロシア語話者は、疑問文においてイントネーションを上げないで、下げることがある。

12. スペイン語 Spanish

英語にはスペイン語より幅広く複雑な母音システムがある。したがって、スペイン語話者は様々な英語の母音を発音したり聞いたりすることが困難である。“ship”と“sheep”、 “taught”と“tot”、 “fool”と“full”といった単語の音を区別しにくい。

多くのスペイン語話者にとって英語の子音についてはそれほど問題とならないが、次のような点で課題がある。

(1)最後の心を正確または十分に発音しない:“card”を“cart”、 “bridge”を“brish”、 “think”を“thing”など

(2)“s”ではじまる単語に接頭辞の“eh”を加える傾向がある。とりわけ“s”の次に子音が来る場合である。例えば“school”は“eh-school”になり、“strip”は“eh-strip”になる。

(3)子音が複合化した場合、いくつかの音を省略する。例えば、“next”は“nes”、 “instead”は“istead”となる。

(4)“yes”を“jess”と言うように、DJサウンドをYサウンドの代わりに使う。

スペイン語話者にとってアメリカ英語のイントネーションは難しい。スペイン語は音節タイミングの言語(syllable-timed language)で英語は強勢タイミングの言語(stress-timed language)である。通常、強勢・ピッチ・リズムの組み合わせによってもたらされる英語の意味、情報はスペイン語のイントネーションにはない部分であり、学ばなければならないものである。

13. スウェーデン語 Swedish

英語と同じように、スウェーデン語は強勢タイミングの言語(stress-timed language)である。しかし、アメリカ人が、小さく発音(飲み込むように)する単語、例えば“like”、 “but”、 “the”、 “was”は、アメリカ人の耳には強すぎる発音に聞こえることがある。

スウェーデン語は英語と違い、調子の違いで単語の意味が変わる声調言語である。このため、質問を聞いているかのように、上がった調子で終わるセンテンスがある。

発音については、2つの言語には似ている音が多い。しかし、“ship”と“sheep”、 “bed”と“bad”といった単語で母音を区別するのが困難なスウェーデン語話者もいる。

英語とスウェーデン語では子音はかなり重なっているが、他の言語話者と同様に有声無声THサウンドの正しい発音に課題がある。

ZHの代わりにSH、Zの代わりにSを使う傾向がある。

14. ベトナム語 Vietnamese

英語とベトナム語の間には音とイントネーションの違いが多くある。ベトナム語は英語と違い声調言語であり、ベトナム語話者はアメリカ英語の音節と単語の強勢パターンが難しい。そのためモノトーンでフラットな英語になることが多い。

ベトナム語話者は短母音と長母音の区別をするのが困難であり、また子音の間に母音を付け加えることがある。

ベトナム語話者は最後の子音を発音しないことがある。なぜならベトナム語では英語と比べて子音で終わる単語が少なく、また子音で終わる場合でも異なる声調であるためである。

音の代用はしばしば起こる。ベトナム語話者は英語のほとんどの母音と子音に集中する必要がある。

 

まとめ

日本語以外を母国語とする人たちも、英会話では母国語の影響をいろいろ受けるようですね。機会があれば、こうした特徴を頭に入れて、英語を母国語としない非ネイティブの英語を聞いてみてはいかがでしょうか。