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「毎日の英速読」で英文を読むスピードを上げるスラッシュリーディングトレーニング

「英文を読むのが遅い」というのは日本人英語学習者によくある悩みではないでしょうか。読むのが遅い原因のひとつは、日本語に訳しながら「返り読み」、「戻り読み」をしていることにあります。

「返り読み」、「戻り読み」をすることは、頭から読んで、もう一度後ろから読み返すことになり、1回だけ読むより確実に時間がかかります。

この「返り読み」、「戻り読み」の習慣を改善する方法がスラッシュリーディングトレーニングです。スラッシュリーディングとは、英語のまとまったカタマリを英語の語順に従って読んでいく読み方です。

代表的な区切りのカンマの前、英文の構成要素である長い主語、長い目的語や前置詞で始まる前置詞句(カタマリ)、TO不定詞、過去分詞、接続詞、関係詞などの前をスラッシュで区切り、そのスラッシュで囲まれる部分を順番に理解していきます。

【例文】
I went to the bookstore near Tokyo station to buy an English textbook written by a famous journalist.

スラッシュを入れると
(1) I went / (2) to the bookstore / (3) near Tokyo station / (4) to buy an English textbook / (5) written by a famous journalist.

スラッシュ部分の訳は以下のようになります。
(1) 私は行った / (2) その本屋に / (3) 東京駅の近くの / (4) 英語のテキストを買うために / (5) 有名なジャーナリストによって書かれた

スラッシュリーディングでは、(1)を読んだら(2)、(2)を読んだら(3)のように順番に読んで理解していき、前のスラッシュ部分には決して戻らない読み方です。前に戻らなくてもこの例文が何を意味するか十分理解できるはずです。

一方で自然な日本語に訳そうとするとどうなるでしょうか。
(1) → (2) → (3) → (4) → (5)と読んだ後に、日本語訳を作るためには

「(5) 有名なジャーナリストによって書かれた (4) 英語のテキストを買うために (3) 東京駅の近くの (2) その本屋に (1) 私は行った。」

のように後ろから前に向かってもう一度読むことになります。この文で自然な日本語に訳そうとすると、同じ文を2回読むことになり、単純に2倍の時間がかかることになります

以上のことから、英文を読んで理解するスピードを上げるためには、文全体を自然な日本語に訳さず、スラッシュリーディングのような読み方で文頭から順番に理解することが重要です。

今回紹介する「毎日の英速読」は、このスラッシュリーディングのトレーニングができるように工夫されています。では具体的にポイントを指摘していきましょう。

本文にスラッシュ訳がついている

本文がスラッシュで区切られ、その上に部分訳がついています。文法的なまとまりを意識するでき、かつその部分の意味がわかるので、文を頭から読み進めることができます。

このテキストを使ったスラッシュリーディングを以下に具体的に説明します。

1. Unit 01 Learning from Bearsの2文目を例にとりましょう。この文は2つのスラッシュで区切られて、全体で3つの部分(1)(2)(3)に分かれています。

2. まず(1)を読んで理解します。”They like(彼らは好む)”の部分です。

3. (1)を読んだら、(2)の”having more time(より多くの時間を持つことを)”に進んで読みます。読み終わった(1)は見ません。

4. (2)を読み終えたら(3)の”to spend with their families(家族と過ごす)”を読んで理解します。前の(1)、(2)には戻らず、(1)→(2)→(3)の順に読むことでこの1文を終えます。

英語の語順で読んでいけば、
(1) “They like(彼らは好む)”
→ (2) “having more time(より多くの時間を持つことを)”
→ (3) “to spend with their families(家族と過ごす)”
の順に理解していくことができます。

具体的なトレーニング方法が書かれている

本書のP19より、具体的なトレーニングメニューが書かれています。準備運動から始まり、「目で読む」、音声ファイルを聞きながら「目と耳で読む」、次に音読、シャドーイングで「口も鍛える」などどのような手順でトレーニングを行えばいいか書かれています。

こちらのトレーニング方法を自分流にアレンジしてもいいと思います。ちなみに音声ファイルは出版社(朝日新聞出版)のサイトからダウンロードできます。

読むスピードWPM(Words Per Minutes:1分間に読む単語数)が容易にわかる

読解スピードを上げる過程で、定期的にどれくらいのスピードで読んでいるか知る必要があります。本書では各Unitに対して、読むのに要した時間から簡単にWPM(1分間に読む単語数)がわかる表がついています。

縦軸が要した時間(秒)で、横軸がUnitの番号です。表で交差する箇所がWPMとなります。本書では目標を150~200 WPMとしています。トレーニングを重ねるにつれて、WPMの伸びが実感できるはずです。

収録されているUnitには興味深いトピックも含まれています。英文を読むのが遅いとお悩みでしたら本書に取り組むことをお勧めします。